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バイトの交通費支給ルールを解説!定期がある場合、車通勤の場合はどうなる?

番外編

バイトの交通費支給ルールを解説!定期がある場合、車通勤の場合はどうなる?

バイトを始める際に確認しておきたいことのひとつとして、「交通費の支給ルール」が挙げられます。交通費の支給有無や支給基準はバイト先によって異なります。勤務地までの交通費がどの程度支給されるかによって、実質的な収入に影響するだけでなく自分が支払う税金にも関わるため、よく理解しておくことが大切です。

この記事では、バイトの交通費について、支給ルールや注意するべきポイントを解説しています。バイトを始める前にきちんとおさえておきましょう。

この記事の監修

山本 喜一

社会保険労務士法人日本人事 代表

バイト先によって交通費の支給ルールは異なる

交通費の支給は、法律によって義務づけられているわけではありません。交通費の支給有無をはじめ、支給条件や受け渡し方法は各企業の判断に任されているため、バイト先により異なります。ただし、代表的な交通費の支給ルールはあるので、まずはそちらを確認しておきましょう。

「全額支給」「一部支給」「一律支給」といった支給形式がある

交通費が支給されるバイト先の場合、支給形式は主に「全額支給」「一部支給」「一律支給」の3通りがあります。以下にそれぞれの特徴を解説します。

全額支給

通勤にかかった交通費の実費が全額支給されるケースです。自宅から勤務地までの往復の交通費を申請すれば、バイト先から通勤にかかった全額を支払ってもらうことができます。

一部支給

支給される交通費の金額に上限が設けられているケースです。例えば、「月5,000円まで」「1日500円まで」といった支給額の制限があります。上限額までの範囲内で収まれば交通費を全額支給してもらうことができますが、上限額を超えた分については支払われません。そのため、勤務地が遠い人の場合は全額まかなえない可能性もあるでしょう。

一律支給

実際にかかった交通費に関係なく、すべての従業員に一律の金額が支給されるケースです。日もしくは月単位で一律の金額が定められますが、日単位の場合は、月の上限額も設けられていることがあります。勤務日数が多くなると、超過分は支給されないこともあるため注意が必要です。

交通費が出ないバイト先もある

交通費支給の基準は法律上規定がなく、各企業の判断にゆだねられています。企業側に交通費の支給義務はなく、あくまで福利厚生のひとつとして支給しているため、バイト先によっては交通費が出ないこともあります。

交通費が支給されるかどうか、また、支給される場合にもらえる金額については、募集要項や内定後に示される労働条件通知書に記載されています。もしわからない場合は、バイト先の責任者や担当者に確認しておきましょう。

支給方法は給料と一緒に振り込まれることが多い

交通費は、給料と一緒に指定の口座に振り込まれるのが一般的です。つまり、次の給料日までにかかる交通費は、一時的に立て替えて支払い、翌月に給料と一緒に振り込まれることが多いです。バイトを始めたばかりの頃は、給料をまだ受け取っていない状態で交通費を自分が立て替えることになりますので、生活費の管理に注意しましょう。バイトの日数が多く、定期代が支給される場合は、先払いとなることもあります。

通勤交通費を証明する書類の提出を求められることもある

交通費の申請方法はバイト先によって異なりますが、申請時に通勤交通費を証明するための書類の提出を求められることもあります。書式が指定されている場合は、指定フォーマットに必要な項目を記入して提出しましょう。決まった書式がない場合は、乗り換え案内などの経路情報を印刷して提出することで、必要な交通費を証明することができます。

交通費の算出方法

交通費の算出方法は、交通手段ごとに異なります。もし、算出方法を間違えて、交通費を実費より高く申請してしまうと、何らかの処分が課されてしまう可能性があります。主に利用する予定の交通手段をもとに、以下の方法で自宅から勤務地までの交通費を正確に算出しましょう。

電車やバスなどの公共交通機関を使う場合

電車やバスなどの公共交通機関を使う場合は、自宅の最寄り駅や停留所から、バイト先までの交通費を調べます。複数の通勤方法がある場合は、 最安ルートまたは最短ルートを申請しましょう。ただし、客観的に合理的な理由があれば、必ずしも最安または最短ルートでなくても通勤経路として認めてもらえる場合がありますので、どこまで認められるのかバイト先の交通費の支給ルールに従って申請しましょう。ルールがわからなければバイト先の責任者に確認をとってから申請するようにしてください。

なお、自宅からバイト先に向かうこともあれば、学校終わりに学校から直接バイト先へ向かうなど、日によって通勤ルートが異なる人もいるでしょう。自宅以外からバイト先に向かった場合も、基本的には自宅からの交通費を支給されることが多いですが、実費よりも多い金額を受け取ってしまうと不正とみなされるケースもあります。自宅以外の場所から出勤することもある場合、バイト先に念のため事前に確認するのが無難です。

定期を持っていると出ないこともある

通学定期は本来、通学以外の目的で利用することを認められていないため、バイトの通勤用に使うことはできません。そのため、通例として通学定期の有無に関係なく交通費は支給されます。

しかし、勤務地が通学経路の途中にあり、自宅や学校から通学定期を使って通えるのであれば、実際に交通費はかかりません。このようなケースでは、バイト先から交通費が支給されないことがあります。ただし、バイト先によってルールが異なるため、バイトの応募時に、通学定期がある場合の交通費支給について確認しておくと良いでしょう。

車やバイクを使う場合

車やバイクで出勤する場合、交通費の支給形式は一律支給、距離に応じて支給、実費支給などのケースが考えられます。

一律支給では、車やバイクで通勤する人に交通費として同額が支給されます。シンプルな仕組みでわかりやすい半面、通勤距離や車種の違いなど、人によって不公平が生じる場合もあるでしょう。距離に応じて支給の場合、例えば1キロごとに支給されるなど、バイト先によって条件が定められています。また、交通用具(車、バイクなど)や車種に応じて支給額が異なる場合もあるため、バイト先の規定をよく確認しておくことが大切です。

実費支給では、実際にかかったガソリン代の全部または一部が支払われますが、通勤と通勤以外で使用した場合とを分けることが困難なため、あまり使われません。実費支給の場合は、バイト先でのルールをよく確認しておきましょう。

自転車や徒歩の場合

勤務先が自宅から近く、自転車や徒歩で通勤できるようなら、基本的に交通費は支給されません。ただし、交通費を一律支給している場合や、通勤手段にかかわらず通勤手当を支給している場合は、自転車や徒歩で出勤しても交通費をもらえることもあります。

扶養内でバイトをする場合の税金面での注意点

親などの扶養内でバイトをする場合、交通費と税金の関係にも注意する必要があります。交通費は、課税対象の場合と非課税対象の場合の2パターンがあります。扶養内で働くには、いわゆる「103万円の壁」、すなわち年収を103万円以内に抑える必要がありますが、もし交通費が課税対象の場合は、 この103万円には給与のほかに交通費も含まれるのです。そのため、交通費が課税もしくは非課税であるかを確認することが大切になります。交通費の課税と非課税を見分ける際には、次の点を確認しましょう。

公共交通機関の場合、月15万円までは非課税

電車やバスといった公共交通機関を利用して通勤する場合、交通費は月15万円まで非課税になります。例えば、月に20日間勤務したとして、交通費が月15万円を超えるのは片道3,750円以上かかる場合になります。よほど勤務先が遠くない限り月15万円までに収まると考えて良いでしょう。非課税であれば、扶養内で働くための年収103万円の中に交通費は含まれません。

車やバイクの場合、通勤距離によって課税対象となる

車やバイクで通勤する場合、片道の通勤距離に応じて課税対象となる交通費の金額が変動します。通勤距離が2キロメートル以上10キロメートル未満では4,200円、10キロメートル以上15キロメートル未満では7,100円と、距離が増えるにしたがって非課税限度額が上がっていく仕組みです。

ただし、片道2キロメートル未満で車やバイクを利用して通勤すると、交通費は全額課税の対象となります。なぜなら、バイト先が近場で徒歩など別の手段でも通勤できるにもかかわらず、自己都合で車やバイクを利用しているとみなされるためです。勤務地までの距離を計算し、片道2キロメートル未満であれば、交通費が課税対象にならないよう、できるだけ車やバイク以外の通勤方法を選んだほうが良いでしょう。

交通費が給与に含まれている場合は課税対象となる

バイト先によっては、交通費として給料とは別に支給するのではなく、交通費を含んだ時給が設定されている場合があります。このようなケースでは、交通費も含めて「給与」として支払われていることになるため、交通費も課税対象です。そのため、前述した「公共交通機関の交通費は月15万円までは非課税」という条件は当てはまりませんので、勘違いしないよう注意しましょう。

交通費が給与に含まれているかどうかを確認するには、給与明細を確認しましょう。給与明細の「非課税」の項目に交通費が記載されていれば、給与に交通費が含まれていないことになります。交通費の支給があるバイト先に勤務しているにもかかわらず、給与明細に交通費の欄がなく、給料と合算されているようであれば、交通費込みの給与体系となっていると考えられます。もし、交通費が課税対象か非課税対象か分からない場合には、バイト先に確認してみましょう。

嘘をついて交通費をもらうのは避けよう

遠回りした場合の通勤経路を申請したり、自転車で通勤するにもかかわらず電車代分の交通費を申請したりなど、嘘をついて実費以上の交通費を申請することは絶対に避けましょう。実態と異なる交通費を受け取っていたことが発覚してしまうと、今までに支払われた交通費を全額返金するよう求められたり、悪質である場合は懲戒解雇になったりする恐れもあります。さらに、勤務先をだましてお金を支払わせたことで、最悪の場合、詐欺罪や業務上横領罪という重い罪に問われる可能性もあります。

また、実費よりも高額な金額を受け取っていたことが発覚すると、仮に処罰を受けずに済んでもバイト先からは不信感を抱かれる結果となり、結局自分が働きにくくなることも考えられます。必ず、交通費を申請する際には、間違いのないよう正確な金額を申請することを心掛けましょう。

まとめ

交通費の支給有無は、毎月の収入を左右しかねない重要なポイントです。支給される場合でも、バイト先によって支給基準が異なりますので、バイト先の責任者に聞いたり、募集要項や労働条件通知書を確認したりするなど、交通費の支給ルールについて情報を得ておくことが大切です。また、交通費が課税対象となるケースもあるので、扶養内でバイトをする場合には、注意してください。効率よく収入を増やせるよう、税金面での注意点も理解してバイト先や交通手段を選択するようにしましょう。

正確な交通費の金額を申請せずに、実費よりも高い金額を受け取っていたことが発覚すると処分を受ける可能性もあります。必ずバイト先の交通費の支給のルールの範囲内で申請するようにしましょう。

この記事の監修

山本 喜一

社会保険労務士法人日本人事 代表

特定社会保険労務士、公認心理師、精神保健福祉士。大学院修了後、経済産業省所管の財団法人で、技術職として勤務、産業技術総合研究所との共同研究にも携わる。その後、法務部門の業務や労働組合役員も経験。社外取締役として上場も経験。上場支援、同一労働同一賃金、メンタルヘルス不調者、問題社員対応などを得意とする。

代表著書
補訂版 労務管理の原則と例外 働き方改革関連法対応』新日本法規
労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』日本法令 等多数

※この記事の公開日:2021年12月09日

集計期間:2024/4/29~2024/5/5
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